
プロテインは運動習慣がある方にとって、なくてはならない“相棒”のような存在になっているという方も多いのではないでしょうか。上手く活用することで理想の身体づくりをサポートできますが、一方でプロテインの過剰摂取による腎臓へのダメージがたびたび指摘されます。
プロテインは腎臓に悪いって本当?プロテインの過剰摂取が腎臓に与える影響とは
プロテインとは?
プロテインとは、直訳すると「たんぱく質」のことです。プロテインと聞くと、日本では栄養補助食品やサプリメントをイメージする方が多いですが、本来は栄養素そのものを指しています。ギリシャ語で「最も大切、第一となるもの」といった意味の「proteios」が語源で、その言葉の意味合いの通り、炭水化物、脂質と並ぶ三大栄養素に数えられる重要な栄養素です。
たんぱく質は、肉、魚、乳製品、大豆などの食材に多く含まれており、食事から自然に摂取することができます。しかし、現代人は朝食や昼食を抜いたり、食事量が少なかったりと、食生活が乱れがちです。1日に摂取するたんぱく質量も十分ではない状態ですが、プロテインを飲めばたんぱく質を手軽に補給でき、健康的な身体を維持することにつながります。
参考元:Better Health-Protein

1日にどの程度のプロテイン(たんぱく質)を摂取するべき?
たんぱく質は、筋肉、腎臓、血液、皮膚など、私たちの身体のあらゆる部分を作る材料となる栄養素です。健康的な身体を維持し続けるために、体内で少しずつ消費しています。食事やプロテインを通じてたんぱく質を補給しなければ、体内にあるたんぱく質は空になってしまい、体調不良につながってしまいます。
1日あたりに必要となるたんぱく質量は、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年)」を目安にするのがおすすめです。年齢、性別、運動量によっても必要とされるたんぱく質量は異なるため、まずは自分に当てはまる適切な量を把握しましょう。
参考元:厚生労働省-1−2 たんぱく質

プロテインを飲むと腎臓に負担がかかるって本当?
プロテインは手軽にたんぱく質を摂取できるため、「身体づくりのためにたくさんプロテインを飲もう」と考える方がいるかもしれません。しかし、プロテインの過剰摂取は腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。そもそも、「Sports Medicine-Open」の論文によると、身体づくりに利用できるたんぱく質量には限界があるとされており、総たんぱく質摂取量が1.5g/kg/日が上限と記されています。その基準を超えた量のたんぱく質を摂取すると、余分なたんぱく質が体脂肪として蓄積されるだけでなく、腎臓をはじめ肝臓や胃腸などの機能そのものにダメージを与えてしまうリスクがあります。
参考元:厚生労働省-慢性腎臓病(CKD)
プロテイン(たんぱく質)の過剰摂取で、腎臓への注意が必要な理由
プロテイン(たんぱく質)の過剰摂取によって、とくにダメージを受けやすいのが腎臓です。腎臓は、体内に蓄積した老廃物や有害な成分を体外へと排出し、血圧調整、水分量のコントロールを行う重要な働きをしています。たんぱく質が体内で利用された際に発生する老廃物を取り除く役割も担っているため、たんぱく質を過剰に摂りすぎると、腎臓への負担が増します。腎臓は機能が低下していても自覚症状がなく、知らず知らずのうちに症状が悪化。慢性腎臓病へとつながる可能性が高まります。慢性腎臓病になると血液の解毒や浄化ができなくなってしまい、最悪の場合は腎不全を引き起こすことも。
プロテインは、いまやスーパーやコンビニエンスストアで簡単に手に入れることができ、粉末タイプ、ドリンクタイプ、ゼリータイプ、プロテインバーと、摂取方法も手軽です。それゆえ、食生活の中心をプロテインに頼りたくなります。しかし、過剰摂取による身体へのリスクがあることをしっかり押さえておきましょう。
身体(腎臓)へダメージを与えず、プロテインを上手く活用するために
プロテインはあくまでも、1日あたりに必要なたんぱく質量が摂れないときにその役割を発揮するものです。必要なたんぱく質量を食事からしっかりと補給できていれば、プロテインを飲む必要はないといえます。一方で、運動をしている方はとくに、傷ついた筋肉の修復などにたくさんのたんぱく質が使われるため、運動習慣がない方以上にたんぱく質を補給する必要があります。そういった意味で、プロテインはとくに運動量の多い方には心強い存在です。“たんぱく質摂取の基本は食事から”というのは押さえつつ、プロテインは不足分の補助として活用することを意識しましょう。
まとめ
プロテインは効率的にたんぱく質を摂取できるため、積極的に飲もうとする方も多いでしょう。しかし、過剰摂取は腎臓をはじめとする身体のさまざまな機能へダメージを与える可能性があるということも覚えておかなくてはなりません。適切に、そして効果的にプロテインを活用していくために、いま一度ご自分の運動習慣や食生活を振り返ってみてください。